かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム写真はイメージです Photo:PIXTA

認知症は、特別な人の病気ではなく、誰にとっても身近な問題だ。近年では、何気ない生活アイテムや日常習慣が、認知症のリスクと関係している可能性があることが指摘されている。米国内科専門医・老年医学専門医の山田悠史氏は、著書『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』の中で、そうした日常行動と認知症リスクの関係について解説している。今回は山田氏に、普段持ち歩くかばんの中身に表れる「認知症リスク要因」について話を聞いた。(取材・文/新里百合子)

認知症リスクをもっとも押し上げる要因は?

――著書を拝読し、認知症の最大のリスク因子が「難聴」であることに驚きました。飲酒や喫煙よりもリスクが高いという点は、多くの人にとって予想外の指摘ではないでしょうか。

 そうなんです。喫煙や過度の飲酒も、もちろん認知症のリスク要因として知られていますが、実は「難聴」は、人口あたりではもっとも大きなリスクとされているのです。

 開始時点で認知機能が正常な人々を対象に、25デシベル以上の聴力障害がある群とそうでない群を比較した8年間の追跡調査では、聴力に問題のある人の認知症リスクが1.9倍にまで上昇することがわかりました。

 加えて、中年期における聴力低下が、脳の記憶を司る「海馬」や「側頭葉」全体の容積がより早く減少することと関連しているという興味深い研究もあります。

 こうした知見は、聴力の問題が単なる「聞こえ」の不調にとどまらず、脳の構造的変化や認知機能低下の引き金となりうることを示しています。だからこそ、予防的なアプローチが重要なのです。

――脳の構造や機能にまで影響を及ぼすとなると、看過できない問題ですね。日常生活では、どのような点に注意を払えばよいのでしょうか?