観察事実としては、プロ経営者を超えたスーパースターレベルの経営者が出現する企業では、社内政治力よりも成果が優先される企業風土が存在します。ビジネスに意識をより多く振り向けられる環境であるがゆえに、経営者として日々学び、経営者としての力量を向上させられるメカニズムが働くのです。

 脱線しますが、自民党は日産やセブンと同じ政治力が物をいう組織です。権力闘争が熾烈で組織内の政治に意識を全集中しなければならないメカニズムのために、国民に意識が向けられない。まあここはこれくらいにしておきましょう。

 もしレベル3の水準の経営者が日産やセブンを経営していたとしたら?おそらく日産はホンダと対等に経営統合できていたでしょうし、セブンはアリマンタシュオンクシュタールを買収していたかもしれませんね。

 特に日産の場合はレベル3のゴーン氏を放逐することで、ふたたびゴーン前の状態へと凋落したことは、たとえ幹部に悔いはなくとも大半の社員には悔やまれることでしょう。

 日産とセブンについてはそれぞれこれで企業価値はリセットです。ですがこれからの10年を予測すると、その何倍もの数の日本企業が、日産やセブンと同じ経営上の難題に直面する日がやってくると思います。そのときには「大揺れに揺れて、外国人経営者にいったん任せて、また元に戻る」というやり方だけでは済まないと思います。いまのうちに組織風土を変革する覚悟が必要でしょう。