自分よりもずっと大きな相手と組んでスケールアップして生き残るやり方はNGにされた前提だと、戦略としてとれる方法論は徹底的なリストラということになります。
これが組織にとっても都合がいいことに、社内政治による基盤をベースにしていない外国人だからこそとれる選択肢です。だから外国人経営者はこうした場合に「使える人材」になります。小泉進次郎の地元・追浜工場の廃止は日本人社長には着手できなかった経営改善策です。
セブンの場合は「創業家の影響力を残すことが絶対条件。その前提でできる範囲内で企業価値を上げてほしい」という社内圧力があると想定すれば、デイカス社長の役割が理解できます。第一は、とにかくカナダの会社を塩対応をしてあきらめさせること。これは達成できたわけです。つぎはおそらく北米事業の販管費の見直し。三番目に日本のコンビニで売れている商品を海外のコンビニに輸出することでしょう。
両社とも株価を押し上げていたM&A期待は消滅させる前提で、残った選択肢の中で一番企業価値を維持するために、レベル2の外国人経営者という存在を外圧として利用している。だから株主が一時的に期待した企業価値からは大幅に下落するが、ここまでの下落でいったん株価が下げ止まることを期待しているのです。
最高レベルの経営者なら
今の日産とセブンをどう立て直す?
さて、経営者の3段階のレベルの一番上、レベル3とはどのような段階なのでしょうか。
プロスポーツ選手の中にも、普通のプロとスーパースターがいるのと同じで、経営者にもプロ経営者とスーパースター経営者がいます。前者がレベル2だとすれば、後者がレベル3。世界の頂点の例でいえばエヌビディアのファンCEO、マイクロソフトのナデラCEO、毀誉褒貶はありますがテスラのイーロン・マスクCEOなどはその最高峰でしょう。
日本の大企業の経営者の中にもスーパースター級の経営者は存在します。彼らの共通点は、切り売りではなく、成長の絵を描くことができ、かつそれを実現させる経営力があることです。