この勝負どころのステージはただちに打ち切りとなり、その手前の峠の頂上を通過したタイムを総合成績に反映させた。こうして若いコロンビアのエガン・ベルナルが一気に首位に浮上して最終日までその座を守り、南米選手として初優勝を遂げることになった。
フランスはヨーロッパ有数の農業大国だが、熱波による干ばつや作物被害が拡大している。ブドウ畑や小麦畑では高温と乾燥が品質・収量の低下を招き、酪農や畜産業でも家畜の体調不良や飼料不足が問題となっている。さらには世界随一の観光大国としての存在にも悪い影響が見られるようになった。
酷暑でも「エアコンなし」理由が
パリすぎてドン引きした
花の都と言われるパリでは地球温暖化は大問題だ。しゃれたアパルトマンに住む人たちはパリジャン・パリジェンヌの象徴だが、最上階は屋根裏に位置することもあり、古びた屋根瓦を通して太陽の熱が見事に伝わってくる。景観を害するためエアコンの設置は難しい。
建造物そのものが観光遺産のパリにあって、テラスに室外機を設置するには行政と共同所有者の許可を得る必要がある(2025年3月13日 Le Figaro)。住民は扇風機を使ってしのぐのが実情。プチホテルなどと呼ばれてイメージのいい宿泊施設も当然エアコン設備がなくても不思議ではない。フロント係が扇風機を貸してくれるくらいだ。

2025年7月1日と2日には、ついにパリのエッフェル塔の高層階が異常な熱波のため閉鎖された。私の知人もホテルの部屋で一睡もできなかったようで、どうしたかといえば、暑さに耐えきれず建物の外へ。
涼しい場所として、真っ先に思い浮かんだのがパリのメトロの通路だったという。地下なので意外なほど涼しい。
異常な暑さで眠れない観光客もそうしなければいられないからメトロに行き着くのである。
その対策としてパリでは夏の間、美術館、図書館、公園、プール、教会などの開いている時間を深夜まで延長し、住民の暑さ対策を支援することになった。熱波に襲われたときはショッピングモールやエアコンの効いたお店に避難することも可能だが、さらに市庁舎に涼しい部屋を用意することになった。