2027年度の業績目標は
「変革」から「勇翔」で上方修正
JR東日本は「変革」で、非運輸事業に経営資源を重点的に振り向け、運輸と非運輸の営業収益比率を7対3から6対4へ拡大する目標を掲げた。2024年度の非運輸比率は33%で目標に届いていないが、「勇翔2034」ではモビリティと生活ソリューションの「二軸経営」と位置づけ、両者を融合。次世代Suicaがこれを橋渡しするとした。
「変革」と「勇翔」の2027年度数値目標を比較すると、連結営業収益は6%、連結営業利益は18%の上方修正となる。金額で見ると、モビリティ業が営業収益1030億円(5%)、営業利益560億円(31%)の大幅増だが、これは2026年春を予定して申請中の鉄道運賃改定を前提とした数字。鉄道事業の収支改善は「勇翔」の大前提となる。
成長分野の生活ソリューション業を見ると、不動産・ホテル業が営業収益660億円(13%)、営業利益140億円(11%)と大きい。目標達成した場合、運輸と非運輸の比率は6対4、厳密には61対39。「変革」の目標、いまだ達成ならずである。
だが、ポートフォリオを「比率」で考えるのには限界がある。もし運賃改定を行わず、モビリティ業が増収しなければ6対4は達成できたが、それは本末転倒である。そういった意味でも具体的な数値を明記しない「二軸経営」としたのだろう。
なお、2024年度実績と比較すると、生活ソリューション業は流通・サービス業が2613億円(66%)、不動産・ホテルが1276億円(29%)、全体では4003億円(43%)もの大幅な増収が必要になる。営業利益で見ても、流通・サービス業が225億円(37%)、不動産・ホテルが177億円(15%)、全体では493億円(24%)だ。
これだけでもかなり意欲的な数字だが、2031年度にはさらに5000億円以上を積み上げて連結営業収益4兆円を目指すとしている。同社は「Beyond the Border」に掲げる取り組みに加え、Suicaの「生活のデバイス」化による各ビジネスへの波及効果や不動産販売の拡大、また、シナジーを発揮できる事業のM&Aなどにより、早期に収益力向上を図りたいとしている。