世界的な業界再編の主役or再び狙われる立場
セブンは今後、国内外の企業との提携や買収を再検討することになるだろう。まず、国内では異業種を巻き込んだ提携や買収を仕掛け、業界再編の台風の目になる可能性は高い。
セブン、ローソン、ファミリーマートの3極体制に集約された国内コンビニ業界。ローソンには三菱商事とKDDIが50%ずつ出資している。三菱商事の物流や商品発掘のノウハウと、KDDIのデジタル関連ビジネスの知見を結合することで、ローソンは省人化、新しい需要創出の加速に取り組んでいる。
ファミリーマートは、伊藤忠商事傘下で店舗運営の効率化や商品開発力の引き上げに取り組む。他方、九州地盤のトライアルホールディングスがスーパーの西友を買収し、首都圏での小型店舗を増やして食品需要の取り込みを急ぐという。
こうした新たな競争の激化に対応するためにも、セブンは同業他社の買収、さらにITや通信企業などと協働し、付加価値の高い店舗運営を進めることが求められる。
海外では収益拡大のために買収案件の発掘が課題になる可能性がある。それに伴って、セブンの経営陣には事業再生の実績を持つプロ経営者が参画し、経営風土が根本から変わることも考えられる。
一方で、海外展開が遅れればセブンの業績への懸念は高まるだろう。そうなると、再びセブンは買収のターゲットにされる可能性は十分ある。そもそもクシュタールが再びセブン買収を仕掛ける可能性すらある。今回クシュタールが下りたのは、高株価での買収を避けるために「今のタイミングはいったん見送っただけ」とも十分考えられる。いずれにしてもセブンの先行きは全く楽観できない。
今後の事業戦略の内容次第でセブンは国内だけでなく、海外を含めた小売業界再編の主役にも、あるいは買収のターゲットにもなり得る。国内外で小売業界の合従連衡は一段と加速することになるだろう。その中でセブンがいかにして生き残るか、経営陣の力量が問われる。厳しい時代に突入したものだ。