1980年代から1990年代は、サービス化と情報化の時代です。このころからものではなくサービスにお金を払うことが一般化し、情報を駆使したビジネスが台頭しました。
たとえばコンビニエンス・ストアは、1980年代頃から広まった業態の1つです。コンビニエンス・ストアが登場する前は、日用品の購入に旧来の小売店(多くは個人商店)かスーパーマーケットを利用するのが普通でした。日本でスーパーマーケットが普及したのは1950年代から1970年代で、旧来の小売店よりも安く、品揃えがよいことを武器に広まっていきました。
ところがコンビニエンス・ストアはこれと正反対でした。現在と異なり、当時はメーカー希望小売価格に近い値段で販売されていたのです。スーパーマーケットと比べて値段が高く、しかも品数も少ないコンビニエンス・ストアが人々に支持されたのは、時代の変化といえるでしょう。コンビニエンス(便利さ)にお金を払う時代が、到来したわけです。
1983年にオープンした「東京ディズニーランド」も、サービスの時代を象徴する存在です。アトラクション、パレード、キャラクターとの触れ合い、レストランでの食事、といった「形のないもの」に対して、消費者は喜んでお金を払うようになりました。
1980年代に普及した宅配便が
情報化時代の到来を告げた
1980年代から1990年代を振り返るとき、忘れてはならないのが情報化です。コンピューターと情報ネットワークが社会に普及し始めるとともに、これらを活用した産業が目立つようになりました。
宅配便はその1つです。かつて個人が手軽に荷物を送るには、郵便局で「小包」を利用するのが普通でした。しかし、1980年代頃から宅配便が広く普及しました。
宅配便の魅力は安く、手軽に荷物を送れることでした。また到着までの時間の短さや、正確さも魅力でした。これらを実現するには色々な工夫が必要でしたが、その基盤となったのが最新の情報システムでした。宅配便は、コンピューターを活用して膨大な荷物情報を瞬時に処理することで可能となりました。