そして、日本各地で頻発している線状降水帯。線状降水帯は気象学の専門用語ですが、よく耳にするようになりました。
線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲が列をなし、長時間にわたってほぼ同じ場所で降り続く豪雨のことです。線状降水帯の本場もかつては九州だったのですが、いまや全国区に。線状降水帯のゲリラ化と言ってもいいでしょう。
2024年1月に起きた能登半島地震から9カ月後に発生した、能登半島の線状降水帯。「まさか能登半島に!」と気象業界に衝撃が走りました。
能登だけではありません。雨が少ないはずの東北でも線状降水帯や観測史上最大級の豪雨が頻発しているのです。雨の少ない地方は豪雨に脆弱なため、頻発する豪雨で東北地方の鉄道網はズタズタになっています。「豪雨災害」は、単純な雨量だけで発生しているわけではないのです。
雨の少ない地方に住む人や自治体は豪雨を他人事だと思っているため、どうしても油断しています。ところが、近年の豪雨はこれまでとは異なります。長年にわたる人間の経験が活かされない時代に突入したのです。「まさか自分のところに……」が常套句化しています。
豪雨の発生時期にも異常が見られます。2024年には11月としては初の線状降水帯が長崎県で発生。晩秋にも夏のような豪雨が起こる時代となっています。
死者数が200人を超えた豪雨
実は近年の大規模豪雨災害は、線状降水帯以外でも増えています。
有名な例が2018年梅雨期の西日本豪雨、正式名称は「平成30年7月豪雨(前線及び台風第7号による大雨等)」です。平成以降の単一の豪雨災害としては初めて死者数が200人を超えたこの豪雨では、長野県以西の多くの地点で、3日間連続で降水量が観測史上最大となりました。その記録は今でもほとんどの地点で破られていません。