【包括的な移民向けインテグレーションプログラム】
旅行客ならまだしも、中長期的に日本の住民として生活や仕事につく限りは、日本の社会に適合さらには統合してもらう必要があります。前述したとおり、日本人社会には、世界の中でも特異で外国人からすると理解しにくい文化・制度・習慣が多くあります。しかも、大多数の人と英語での意思疎通ができません。民族的にも限りなく同質です。だからこそ、余計にこの「郷に入れば郷に従え」のための努力をしてもらう必要があります。
そのためには、「はい、自分で勝手にやって」ではだめです。国が、それをサポートするためのプログラムを体系的に整備し新規移民の方々に強制的に受けてもらう必要があります。これを主導する組織は、各省庁、在外公館、諸外国、国際機関と連携し、入国、滞在、就労、不法移民対策、難民保護、統合、国籍取得を一括でおこなう組織であるべきです。プログラムの内容は、日本の文化理解教育、日本語教育、シティズンシップ教育です。これに加え、職業支援や生活ホットラインなどの支援プログラムも含めます。また、実施にあたっては、地方自治体、企業、市民団体、民間教育機関の協力も必要です。
参考までに、フランスでは、全ての非欧州国籍の合法移民は、入国早々に共和制統合契約に署名します。これによりフランス社会と共和国の原則と価値観を尊重し、要求される研修を真剣に受講することを約束します。その研修は次の2種類です。
●シティズンシップ研修(4日間、フランス共和国の価値観と原則、フランスの歴史・地理・生活様式などの基本情報、健康、雇用、子育て、住宅などの生活に関連する権利と義務、およびフランスの公的機関の仕組みなどの理解)
●語学研修(仏語レベル試験で一定水準に達していない人を対象、レベルに応じ最大600時間、移動の制約がある場合オンラインも可)
これに加え、研修後に職業相談と職業適応を促すための支援も用意されています。