(3)強いリスク回避(石橋を叩いても渡らない、または何度も叩きながらゆっくり渡る)

 相対的に日本人は、例え必要と思っていても、大きな変化、新しいこと、新しい人、前例のない案件などを警戒する、避ける、慎重に扱う傾向が強い(以下、その特徴)。

●権力交代がなかなかおこらない(例:一部期間を除く戦後70年間ほぼ自民党が政権を担う、失われた30年でも政権交代がおこらない、フジテレビの経営体制)
●問題解決が先送りされる(例:少子高齢化問題、一部企業の経営問題)
●状況の悪化が極限に達して初めて山が動く、一気に大転換する(特に外圧による。例:ペリー来航と幕末の混乱から大政奉還で約700年の武家政治から大転換、仏ルノーとアライアンス前の日産自動車)

抜本的要因3
市民として自ら考え行動する能力を育まない教育

 日本の戦後教育は、現在も含め偏差値教育が主流です。試験の点数を上げるために「正解を知り覚える学習」に重点を置きます。そのため、民主主義国家でありながら、市民として自ら考え判断や行動をする能力を育てる教育はかなり限定的です(以下、その特徴や影響を示すデータ)。

●日本の中学校教師のうち、クリティカル・シンキング(さまざまな視点からアイデアや理論を疑問視、分析、評価する能力)を教える教師は12.6%と世界平均58.1%を大きく下回る(OECD教育と学習に関する2018年度国際調査-TALIS)
●日本のシティズンシップ教育(参加型民主主義社会を支える市民を育てる教育)は、発展初期段階にあり導入する小中高は非常に少ない
●人の寛大さや社会貢献の姿勢で日本は142カ国中141位(見知らぬ人を助けたか、慈善団体に寄付したか、ボランティア活動に参加したかを測る国際調査「World Giving Index 2024年度版」)
●短文かつ匿名で自由な発言がしやすいX(旧ツイッター)のユーザー数の対人口比率で、日本はアメリカの約2倍の62%と世界最高水準(2024年8月時点、World Population Review)