そもそも栄養状態がよくなり、寿命が延びている時点で、何十年も前の人たちと現代人は、明らかに老け方が異なる。
「エイジングとは闘う、でも若作りはしない」をモットーにする美魔女という言葉も生まれ、エイジング美容の市場も活況だ。

始皇帝が夢見た不老不死を
今もなお追い続ける
一方、見かけの不老だけではない。最近では、加齢により蓄積される老化細胞が、臓器や組織の機能低下を引き起こすことが明らかになっており、老化細胞を取り除ければ老化現象を食い止めることができるという。
そもそも人間の病気の多くは老化に伴って起きるので、老化細胞の除去によって、将来的には病気そのものが減ると考えられており、近い将来、見かけだけではなく、内臓の機能の不老が実現することが期待されている。
それでは「不死」への願望はどうか。不老不死は、昔から中国でも伝統的な生命観のひとつとされており、今から2200年以上も前、中国を統一した秦の始皇帝の命令によって、東方海上の三神山にある不老不死の薬を探すため、徐福が日本にやってきたとされ、和歌山県の熊野市や新宮市周辺には今でも、徐福伝説が残っている。
当の始皇帝は、猛毒の水銀からできた薬を不老不死の薬と信じて飲んでいたことで亡くなったといわれている。
もちろん、2200年以上がたった現在でも、不死は実現されていないし、命あるものは死すべき存在であることは自明の事実である。
アメリカの生物学者レナード・ヘイフリックは、人体の細胞は最大で50回程度しか分裂することができないことを発見しており、ヒトが永遠に生きることは不可能であることが証明されている。