100歳以上生きたい人の理由は、男性では「少しでも長く人生を楽しみたいから」だが、女性では「少しでも長く人生を楽しみたいから」以外に、「子どもや孫の成長を見たいから」も多かった。

 一方で、長生きしたくない人の理由としては、「家族やまわりの人に迷惑をかけたくないから」「身体がだんだんつらくなると思うから」が多く挙げられ、「経済的な不安があるから」も36.7%あった。

 健康長寿のために、「脳トレをしよう」「毎日8000歩を目指そう」「バランスの良い食事を腹八分目に」などと努力している一方、100歳まで長生きしたくないなあというのが、多くの人の本音なのだろう。

 人生の晩年に、病気に罹患して看護してもらったり、老いに直面して介護が必要になったりするのであれば、そこまで長生きしたくはない、ということだろうか。

 例えば厚生労働省『介護保険事業状況報告』によれば、要介護(要支援は含まない)の認定を受けた人は、2022年3月末時点で約500万人いたが、2017年からの5年間で35万人近くも増加している。

 65歳以上の認知症患者(軽度認知障がいは除く)は2022年には約443万人で、高齢者の8人に1人の割合だったが、2040年には約584万人に増加するという推計もある(厚生労働省『認知症及び軽度認知障害(MCI)の有病率調査並びに将来推計』2024年)。

 福岡県久山町では、九州大学が中心となって1985年から認知症の疫学調査がおこなわれている。その結果によると、65歳から69歳までの認知症の有病率は男性で1.94%、女性でも2.42%と算出されているが、80歳を超えると割合があがり、85歳以上では女性の6割近くに認知症の症状がみられると推定される。

 健康で長生きできれば理想だが、介護が必要になったり、認知症を患ったりする人たちが増加してきたのは、人生80歳が当たり前になったからにほかならない。