ここで、シティインデックスが西松建設株を売却して出ていくことが判明しました。ですから、もうシティインデックスが西松建設に対して経営改善や株主還元などを要求することはありません。すると、株価が下がるかもしれないと考えることができます。

 そこで、翌営業日に全株(100株)を売却したとしましょう。翌営業日である2021年9月22日の終値は3570円でした。

 もしも実際に、このような投資を行っていたら、1株当たり「3570円ー2036円=1534円」の売却益を得たことになります。100株買っていたら、おおよそ1年半で約15万円の利益を得たということです。

住友大阪セメントの場合は
報告書に乗っかると損をした

 続いて、シティインデックスが大量保有報告書を提出した住友大阪セメントのケースも見てみましょう。アクティビストが大量保有報告書や変更報告書をどのように運用しているのか、その一端を垣間見ることができる事例です。

 シティインデックスが住友大阪セメントの大量保有報告書を提出したのが2022年4月19日で、保有割合は5.08%でした。シティインデックスがこのまま住友大阪セメント株を買い進めるのかどうか、疑心暗鬼になります。そこで、慎重に行動したとしましょう。住友大阪セメント株を買わずに、様子見です。

 すると、4月25日にシティインデックスが住友大阪セメントの変更報告書を提出します。その保有割合は6.08%へと上昇していました。そこで、「さらに買い増しをする可能性が高そう」と判断して、翌営業日の4月26日の終値3800円で株を買ったとします。

 さらに3日後の4月28日にも、シティインデックスがまた住友大阪セメントの変更報告書を提出しました。あなたは「お!またシティインデックスが買い増しをしたようだ!何%になったのかな?」と期待して変更報告書をチェックします。

 すると……保有割合は3.93%に減少していたのです。結局、翌営業日5月2日の株価終値は3570円となりました。もうこれ以上上がらないだろうと判断し、ここで売却した場合、3800円で株を買ったあなたは1株当たり230円の損をしたことになります。100株買っていたら、1カ月もたたないうちに約2万円の損失です。

 いったい何が起きたのか、確認しておきましょう。