5営業日以内の提出ルールが
コバンザメ投資の盲点になる

 シティインデックスが提出した大量保有報告書と変更報告書を精査すると、買い増しをしていたのは大量保有報告書を提出した4月19日までで、4月20日と21日に大量に株式を売却していることがわかります。

 4月20日の株価はかなり高騰しており、出来高(売買取引が成立した株式数)も急増しています。シティインデックスは大量保有報告書を提出した翌営業日と翌々営業日にはかなりの株数を売却していたのです。

 4月25日に提出された変更報告書では保有割合が6.08%へと上昇していたのに、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

 それは、先ほど説明した大量保有報告書の定義「日本の上場会社の株券等を5%超保有した時に、その日から5営業日以内に提出する書類」のなかにある「その日から5営業日以内に」という部分が影響しています。

 つまり、4月25日の変更報告書は、その5営業日前の4月18日時点の保有割合を表していたということです。そして、4月21日時点の保有割合を4月28日の変更報告書で明らかにしたという流れになります。

 そういった背景を知らずに、シティインデックスの動きに便乗して住友大阪セメント株を購入した投資家は、住友大阪セメント株の株価を上げてから高値で売り抜けたいシティインデックスに利用されたようにも見えます。

報告書を参考にしつつも
投資の最終判断は自分で下そう

 しかし、もちろんシティインデックスはルール通りに大量保有報告書や変更報告書を提出していますので、法的な問題が発生しているわけではありません。

 もし本当に、シティインデックスが大量保有報告書や変更報告書を提出したからと言って飛びついて投資を試みたのであれば、その結果は自己責任なのです。

 本当にアクティビストが今後も買い増しをするかどうかはわかりませんから、きちんと大量保有報告書のルールを理解した上で投資をする必要があるということです。

 アクティビストが登場すると株価が往々にして上昇しがちなのですが、「これからどんどん買い増しをしていくだろう」というコバンザメ投資家の期待とは裏腹に、アクティビストがさっさと売り抜けてしまって株価が急落するケースも、実はあります。

 アクティビストに振り回されないためには、それぞれのアクティビストの投資スタイルやこれまでの投資事例をよく分析し、背景となる制度の盲点などにも注意しておく必要があります。