カリスマ性のある創業者だけでは
ブランドの価値は広がらない
それゆえ販売現場のスタッフはブランドの伝道者としてエヴァンジェリストと呼ばれることもあるくらい、その役割はとても重要です。

ブームだからとただ商品をさばくだけの接客になってしまっては、顧客はすぐにいなくなってしまいます。主要の販売チャネルが卸売りであるナイキが直営店ナイキタウンを作った理由のひとつは網羅的かつ創造的にナイキのイメージを伝える売り方をしたかったから、ということがあったのもうなずけます。(2*)
そして顧客になった人たちから最後に社会、すなわちまだ使っていない人たちへと伝わっていきます。この段階では情報はいろいろなところから入ってきますから、いろんなイメージが出来上がります。
その中で世界観まで含めて伝えてくれるのは、他でもない、世界観を共有して顧客になってくれた人たちなのです。
ディズニーの創業者ウォルト・ディズニーはこう言っています。(3*)
「ディズニーという名前は大衆の心の中にあるひとつのイメージのようなもの。ディズニーといえばある種のエンターテイメントが頭の中に浮かび、家族ぐるみで楽しめる娯楽がすべてディズニーという名前の中に含まれている。だから僕自身はもうディズニーじゃない」
これは世界観の伝達が成功したことがわかる好例です。最後は世界観が創業者を超えて社会に共有される、それがブランドの理想の姿なのです。
この順序を飛び越えて、たとえば広告によって一気に社会にブランドを広げようとしても本来の目的であるブランド価値の最大化に結びつけるのは難しいということがよくわかります。
(2*)…『ザ・ブランド・マーケティング』(スコット・ベドベリ&スティーブン・フェニケル:著 実業之日本社・2022年)
(3*)…『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』(ボブ・トマス:著 講談社・2010年)
(3*)…『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』(ボブ・トマス:著 講談社・2010年)