「デジタル大臣」は、AIは担当しないの?
F:今日は「デジタル大臣」のお仕事についてお話を伺うつもりで来たのですが、平議員のホームページを見ると、デジタル大臣の他に、デジタル行財政改革担当大臣、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)、サイバー安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)、と大変なお役目がズラッと並んでいます。ですがこの中に肝心の「AI」の文字が出てきません。AIに関しては、誰か他の人が担当されているのですか?

平:AIの政策に関しても私がやっています。(石破)総理の指示で、城内(実)大臣と一緒に取り組むことになっています。これは意外と知られていないことですが、日本はデータセンターの設置のほか、実装や研究開発で「選ばれる国」になりつつあるんです。
F:千葉県の印西市が、データセンター銀座と化していて、大変なことになっていると聞きました。Googleのデータセンターもここにあるとか。
平:そうでしょう。データセンターが国内にたくさんできれば、海外の大手IT企業の投資も呼び込むことだってできる。そもそも欧州は、AIに対する規制が非常に厳しいんですよ。AIが様々なことを学習して進化することにも規制が多いし、使途にもいろんな規制がある。
それと知財の保護。元々EUは個人情報保護に関して「GDPR」(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)という仕組みがあって、個人情報の保護がとても厳しいんです。それと同じ感覚でAIに関してもすごく規制が厳しいんですね。
日本は「世界一AIフレンドリーな国」を目指す
平:日本は今までヨーロッパの後追いをすることが多くありましたが、AIについては、生成AIが出てきたばかりの3年前に、私が自民党内に「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」というのを作って、ヨーロッパのように規制規制で縛るのではなく、「世界一AIフレンドリーな国を目指す」という方針で進めています。
F:具体的にはどのように進めるのですか?
平:個人情報とか知財とか、そもそもAIを使っても使わなくても、ダメなものはダメ。だからこれはちゃんと既存の法律で規制する。でも何から何までハードロー(注:法律、条例、政令など、国家や地方自治体が制定した強制力のある規則)で規制したら、AI後進国になってしまうから、自由な部分はちゃんと残す。
これからAIがどのように進化していくのか、未知の部分が非常に多い。そう遠くない将来、人類の英知を超えてしまう“シンギュラリティ”の日だってやってくる。安全保障の問題もある。OpenAI社やGoogleのようなビッグテックの進化は、それこそ指数関数的な勢いで上がっていく。だからこっちは政府がしっかり情報連携して、ハードローは最小限にして、ガイドラインでアジャイル(機敏)にやっていく。AIが作り出したものの著作権に関しては、文化庁と組んでやっていきます。