「SNSで選挙介入」はどのように行われるのか
平:今回のケースは政府の公式調査ではなく、民間のサイバーセキュリティ企業の分析ですが、例えば極端な主張や陰謀論を唱えるアカウントに対して、外国が大規模なbotネットワークを使って、リツイートや“いいね”を大量に付けて拡散させている実態が指摘されています。
具体的な例でいうと、例えば「自民党ふざけるな」「石破がどうのこうの」と投稿すると、その直後に、海外のbotネットが一斉に“いいね”やリツイートを押す。これは、人間のように見せかけた無数の偽アカウントが、プログラムで自動的に反応しているわけです。こうしたbot群は、「botファーム」と呼ばれる施設などから操作されているケースもあります。

F:そんなことが……。
平:そんなことが現実に起きているんです。ヨタでもSFでもありません。
するとどうなるか。Xのアルゴリズムは「これは人気投稿だ」と認識して、政治に関心がない一般の人のタイムラインにも表示されるようになる。誰かが「石破は媚中派だ」みたいな極端な投稿をしていて、それに1000件とか2000件のリツイートがつけば、多くの人は「え?みんなそんな風に思ってるんだ?」と錯覚してしまう。
それを見た普通の人たちが、今度は本気で「政府は腐ってる」「石破は売国奴だ」なんて考え始めて、さらにリツイートや引用投稿で拡散する。
つまり、最初はbotが仕掛けた操作だったはずが、途中から本物の人間が動き出してしまう。これが非常に危険なんです。


F:人間ってそんなに簡単に動きますか。そんなにチョロいですか?
平:チョロいというか……慣れていない人は、SNSの影響を大きく受けてしまうものなのですよ。
さらにキナ臭い話になって参りましたが……平大臣のインタビューは次号に続きます。
(フェルディナント・ヤマグチ)