「10年後に自分の進路を後悔する就活生ってどんな人ですか?」新卒就活、できれば後悔したくないですよね。
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、後悔しないために知っておきたい新卒就活の落とし穴について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

新卒 就活 後悔Photo: Adobe Stock

「10年後に後悔するのはどんな就活生ですか?」

就活生と話すなかで、こんな話題が出てきました。

「10年後に自分の進路を後悔する就活生ってどんな人ですか?」

結論、僕は初任給の高さで入社する企業を選んだ人は後悔する可能性が高いと考えています。

初任給の賃上げニュースが相次ぎ、「手取り30万円」という求人も耳にするようになりました。数字だけ見れば魅力的ですが、その金額に飛びつくのは本当に得策でしょうか。

初任給には何が含まれている?

まず、特に就活生が見落としがちなのは、「初任給」と「基本給」の違いです。

初任給とは、新卒1年目に企業から支払われる1か月分の給与総額のこと。基本給に加え、成果に応じたインセンティブや住宅手当、残業代、通勤手当なども含まれます。

つまり、会社説明会で「初任給で手取り30万円の社員もいます」と聞いても、それが全社員の話なのか、一部の残業が長く成績が良い人の話なのかで意味は大きく変わります。実際には、残業代も手当もなく手取り20万円を下回るケースも珍しくありません。

さらに「手取り」とは、税金や社会保険料を差し引いた後の金額です。手取り30万円をもらうには、総支給額は38万~40万円ほど必要になります。なぜなら、以下のような控除が発生するためです。

・健康保険料(約1.5万円)
・厚生年金保険料(約2.5万円)
・雇用保険料(約0.1万円)
・所得税(約0.6万円)
・住民税(※2年目から発生。考慮すると+約1.5万円)

これらを合計すると、おおよそ8万円~10万円程度が差し引かれます。月に38万~40万円が新卒1年目に支給されるというのは、上場企業などの限られた企業か、歩合給や残業代など一時的な要因が大半を占めるでしょう。

「高い初任給」は必ずしも「お得な条件」ではありません。むしろその裏側には、10年後に後悔を招く落とし穴が潜んでいることも多いのです。