それは「自分がどんな人であり、何を望んでいて、それをどう手に入れるか。何に意義を感じるか」といったことが、より明確だったのです。
平凡な人は、こうしたことの多くがあいまいです。「今の仕事はやりたいことではない。だからといって、ほかにやりたいこともない」という場合、何を望んでいるかが自分でもわからない状態です。これでは大きな夢をかなえることは難しいでしょう。
たとえ「一流の翻訳家になりたい」という夢があるとしても、それだけでは目標が充分明確とはいえません。「一流の翻訳家」の定義がわかりませんし、どのようにして「一流の翻訳家」になろうとしているかも明確ではありません。これでは目標を見失う可能性があります。
ハイパフォーマーは、つねに自問し、人生を見つめ直すことで、こうした基本的なことがらを明確にしているのです。そのうえで、彼らは期限付きの明確な“stretch” goals(達成が簡単でない挑戦的な目標)を設定します。期限付きの目標のほうが、達成の可能性が高まることを知っているからです。
平凡な人が、明確な目標を設定せず時間に流されながら生きているのに対し、ハイパフォーマーは、期限を決めたうえで明確な“stretch” goals を設定し、それに向けて努力しています。ですから生産性も利益率も高まり、達成したときに大きな喜びが得られるのです。
メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷翔平選手は、その最たる例といえるでしょう。大谷選手は、マンダラート(目標設定シート)を作成し、できるだけ具体的に“stretch” goals を書き込むそうです。その結果が、今の彼の成績を生んでいるのでしょう。
ノルマを決めて、守る
私にとって映画の最高傑作は、『ロッキー』シリーズ第6弾『ロッキー・ザ・ファイナル』です。
不平不満を漏らす息子に、ロッキーが、次のように諭す場面があります。
You, me, or nobody is gonna hit as hard as life.
But it ain’t how hard you hit;
It’s about how hard you can get hit, and keep moving forward!
(人生ほど重いパンチはない。
だけど、大切なのはお前がどれだけ強く殴り返すかじゃない。
どれだけきついパンチを打たれても、休まず前に進みつづけることだ!)