ロッキーは、成功者に共通する特徴としてkeep moving forward(つねに前進しつづけること)を息子に説きます。

 この言葉が私の心に刺さったのです。それ以降、くじけそうなときには、この言葉を思い出しています。

 自分が決めた目標に向かってkeep moving forward(つねに前進しつづけること)は大切ですが、言うのは簡単でも、実際に実行するのは困難です。

 たとえば、ピアノがうまくなりたいと決意し、練習を開始したとします。弾くのが楽しいと思える間は、練習をつづけることは簡単なことです。しかし、いつも練習が楽しいと思えるわけではありません。

 どんなことも、上達しようと思えば、必ず壁が出てきます。

 いくら練習を積み重ねてもなかなか思いどおりに弾けない。実技試験に落ちてしまった。他人に酷評された。仕事があまりにも忙しくなった。疲れ果てている。ユーチューブ動画にはまってしまって、いつの間にか時間がなくなった……。

 そんなとき、つい「今日は練習しなくていいか」と前進をやめたくなります。

 アメリカの講演家チャールズ・J・ギヴンは、keep moving forward を可能にするには、discipline が必要だと主張します。

 discipline は「訓練」「規律」と訳される英単語ですが、彼はこれを「時間を完全に管理すること」だと説明しています。

 つまり、一定の時間内に実行して初めてkeep moving forward できる、ということです。

 今日は忙しかったからできなかった。今日は哀しいできごとで滅入った。気分が乗らなかった。仕事が忙しかった……。

 言い訳しようと思えば、いくらでもできます。

 しかし、練習したりしなかったりでは、「一定の時間内に実行したこと」にはなりません。discipline にならないのです。

 目標を設定したら「いつまでに」「どれだけのことをする」とノルマを決めましょう。そしてノルマを決めたら、それを守りましょう。

 それがkeep moving forward のコツです。

【おもな参考文献】ブレンドン・バーチャード著、和田美樹訳『成功し続ける人の6つの習慣』ディスカヴァー21、2024/映画『ロッキー・ザ・ファイナル』日本語版字幕 林完治、2007/オーディオブック:Charles J. Givens『Superself』Simon & Schuster 他