ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の「宅配便」競争、個数は苦戦も単価アップに成功したのは?数量回復見込むヤマト運輸

「置き配」標準化されるのか
宅配便市場の全体像が見えにいのは、なぜ?

 今後の宅配便事業の行方を左右しかねないのが、「置き配」を巡る問題だ。国交省は今年6月、「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の初会合を開き、現在は対面配達が基本となっている標準宅配便運送約款に「置き配」を標準サービスに盛り込む方向で検討を開始した。「2024年問題」対策の一環として取り組んだ不在配達率の引き下げが目標に届かなかったことを受け、さらなる配達効率の改善を見込んだもの。

「置き配」は配達時間を気にすることなく、荷物を受け取れるという利点がある一方で、盗難や汚破損、個人情報流出などへの懸念から利用をためらう人も少なくない。また、マンションや一戸建て住宅への宅配ボックスの設置をどのように進めていくかといったインフラ面での課題もあり、関係者からは「『置き配』を標準サービスとするためには、前提として解消すべきハードルが数多くある」との指摘もある。

 また、大手ECプラットフォーマーが進めている自社配送の多くが「置き配」を前提としていることについて、「大手ECの自社配送はあくまで小売りの付帯業務だが、荷主からの運送委託を受けて“業”として行う宅配便事業者とは一線を画すべき」との声もある。仮に荷物が盗難に遭った場合、EC事業者の場合は社内処理で完了するが、宅配便事業者の場合は荷物追跡や荷送人への報告、補償処理など膨大な労力と時間がかかるという。

 さらに、「大手ECが自社配送を開始して以降、宅配便市場の全体像が見えにくくなった」とも言われており、まずは自社配送を含めた宅配便全体の取扱個数など市場全体の可視化が必要との指摘も出ている。

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の「宅配便」競争、個数は苦戦も単価アップに成功したのは?「置き配」標準化に課題山積か
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