海外大学も、2023年度に初めて合格者数が100名を超えましたが、2024年度も増加し193名が合格。「THE世界大学ランキング」100位以内の海外大学の合格者数も41名となりました(いずれも2025年3月29日時点の集計数値のため、さらに増加の見込み)。
2019年度以降、N高では毎年東大合格者が出るようになりましたが、これは通信制高校としては快挙になります。
東大に通うのは
裕福な家庭の子どもばかり
N高が合格実績を公表し始めたときに、「新しい学校なのに、旧来の価値観に基づいているのか」とか「東大の合格者数を自慢するなんて失望した」とか、さまざまな批判の声が上がりました。また、「進学実績が良いといっても、生徒の母数が大きいから意味がない」という声もありました。
しかし、これらはN高の本質を捉え損ねています。
N高生は東大に進学してはいけないのでしょうか?
たとえば東京大学(東京帝国大学)の歴史的な役割について考えると、当時の身分にかかわらず、勉強さえできれば国のリーダーになれるという、ある種の社会的平等を達成する装置だったはずです。
しかし、現在の東大は、親の年収が1000万円を超える家庭の子どもが進学に有利な大学になっている。小学校のときからSAPIXなどの進学塾に通い、お受験をしてきた子どもたちばかりです。
明らかに現在の東大は、多様性が低下しています。かつての東大は境遇の違いを超えた多様な集団でしたが、今では小学校から東大合格をめざす特殊な世界しか知らない子どもをエリートにするための装置と化しています。これは大きな問題だと思いますが、しっかりと考える人はあまりいないのではないでしょうか。
それでは、どうすればいいか。
ありがちな議論は、たとえば貧困家庭だとか、障害者だとか、そういう社会のさまざまな階層を代表する子どもをバランスよく東大生にして、ひいては日本のエリートを養成していこう、とかいうものじゃないでしょうか。