“他人の時間を預かる”意識で
会議の質が高まる

 私は、ミーティングにおけるリーダーシップについて、世界中の人々にインタビューしてきました。その結果、優れたリーダーには、他人の時間を預かる者としての自覚があるという共通点があることが分かりました。

 優れたリーダーは、大切な顧客や上司とのミーティングの際は、相手が「時間の無駄だった」という感想を抱かないために、スチュワードシップ(訳注:スチュワードとは執事・財産管理人のこと。ここでは時間を預かるものとしての役割・責任を果たすことの意味)の考え方を採用しています。

 ところが、自分のチームや同僚とのミーティングになると、その考え方を軽視する傾向があるのです。つまり、ミーティングの重要度が低いとみなすと、優れたリーダーであっても、ミーティングに手を抜いてしまいがちなのです。時間は誰にとっても貴重であり、これは由々しき問題です。

 スチュワードシップを身に付けることができれば、ミーティングについても、最初から最後まで計画的に取り組めるようになります。

 ミーティングを効果的なものとするための準備は、後回しにしていいものではありません。意図的にスマートなミーティングを行うためには、それほど多くの時間は不要です。練習を積めば、それは1分でできるようになります。

 そのためにはある程度の事前準備が必要です。あなたがミーティング前の準備、ミーティング中にやること、ミーティング後にやることの順番でその内容を説明していきます。

リーダーがしておくべき
ミーティング前の準備

 ミーティングへの積極的参加と効果を高める工夫について最初に説明します。

 まずは、「話し合う議題のリスト」を作るのではなく、「回答すべき質問のリスト」としてアジェンダを整理し直してください。そうすれば、何を話し合って何を達成すべきかを把握できます。

 アジェンダを質問形式にすると、ミーティングの出席者は誰がいいのか、ミーティングを終えるタイミングやその成否(質問に回答が得られればミーティングは成功です)も分かりますし、出席者をミーティングに引き込む魅力的なアジェンダとすることができます。