資料写真はイメージです Photo:PIXTA

一見するときちんとしているが実は「残念な資料」というのは、そこらじゅうに転がっている。情報が詰め込まれているだけ、とりあえず埋めているだけ、そんな残念な資料をあなたも作成していないだろうか?年齢、役職、業種を問わず、さまざまな資料を添削してきたコンサルタントが、実例とともに「ロジカルな伝わる資料」に進化させる方法を伝授する。本稿は、丸 健一『ロジカル資料作成トレーニング コンサルタントが必ず身につける定番スキル』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

「残念な資料」は
こうして出来上がる

 残念な資料とは、(1)目的が曖昧な資料、(2)結論が書かれていない資料、(3)結論の根拠が書かれていない資料の3つだ。もちろん、2つなり3つの症状が混じり合っているのが常だ。特に(1)の目的が定まりきっていないと、結論も根拠も書いてあるかどうかよく分からない資料になりやすい。ここでは、あるあるパターンを紹介していきたい。

「とりあえず情報共有のための資料なので、何かあるってわけではないんですが、まとめてみました」といった類の言葉を会社の中で聞いたことはないだろうか?無目的な情報共有ほど、周りの人の時間を無駄にすることはない。

 ここで紹介するように、多くの資料には得てして目次のような形で、目的になりきれていない目的が書かれている。「~のまとめ」「~の状況」「~の近況」「~の事例」「~の紹介」「~について」などだ。

 目的が大きすぎると「全て」を説明しなくてはいけなくなり、結論が書けないはずだが、何かを書こうと情報が大量に詰め込まれる。情報が詰め込まれていることで資料ができた気になってしまうので、問題があることを自覚しにくい。

 無目的な資料は、抽象度の高い目的の記載に加えて、大まかに2つに分類される。1つ目は無秩序な情報が詰め込まれているパターン、2つ目は一見秩序があるかのようにフレームをとりあえず埋めているパターンだ。