夜に糖質を大量に取ると
どんどん太るメカニズムとは
人の空腹時血糖値はおよそ90ミリグラム/デシリットル。これは100ミリリットルの血液中に90ミリグラムの糖分が溶けている、と理解するといい。
「食事をするとこれが140くらいまで上がってしまうのです」と、東邦大学名誉教授の東丸貴信医師。
「すると膵(すい)臓 からインスリンというホルモンが分泌され、血中の糖を肝臓や筋肉に取り込み、血糖値が下がります。しかし取り込む量にも限界があるため、糖質を取りすぎると、血中の余った糖が脂肪細胞に取り込まれます」
また肝臓は余分な糖を利用して中性脂肪をつくるという。
「それらが体脂肪になり、肥満が生じるわけです。ですから、『夜に糖質を大量に取る→血糖値が急上昇する→内臓脂肪が増え、太り始める→太ると(また夜に食べると)インスリンが効きにくい→血糖値が下がらない→さらに太る』につながりやすいのです」
さて、再び「食べる時間」に話を戻そう。
厳しすぎる断食は続かない
ダイエットのために「朝食」は食べて
一日のうちで朝食から夕食までを10時間から12時間以内に収めるということは、逆に言うと12時間から14時間は「食べない時間(絶食時間)」になる。これを“プチ断食”といい、一時期は18時間断食(一日のうちで食べる時間は6時間)、16時間断食(一日のうちで食べる時間は8時間)が世界中でブームになった。
「けれどもそこまで厳しい断食法、ダイエットは続きにくいのです」と、早稲田大学名誉教授の柴田重信氏(東京科学大学特別研究員、愛国学園短期大学特任教授)は言う。
「もちろん絶食時間が長くなるほどダイエット効果はあるでしょう。けれども社会生活に適応できずに継続できなければ意味がありません。そこで私たちは一日のうちで12時間を食べる時間、12時間を絶食するという形の研究を行いました。12時間絶食でも、体重低下やBMIの改善でいい結果が得られるのです。ただし、そこから1時間延ばして一日のうちで食べる時間を13時間にしてしまうと、効果が得られませんので12時間に収めることが重要です」
もうひとつ、重要ポイントがある。
12時間の絶食後、どんなに夜更かしタイプでも、「朝食を抜く」ことは避けたほうがいい。