朝食を抜くと「昼夜の食事量が増える」
「筋肉量が減る」

「数多くの研究報告から、朝食を欠食すると、昼や夜に食べる量が多くなりやすく、かつそれが高カロリーなものになりやすいことがわかっています。また体内時計のメイン(中枢時計)とサブ(末梢時計)がズレると、体内で時差ボケが起きます。会社に来て目は開いているけど臓器は寝ている状態(笑)。すると注意力散漫になり、記憶力も低下してしまいます」(柴田氏)

 朝食を食べないことが体内時計の乱れを引き起こし、代謝の働きを悪くしたり、(血糖値を上げやすい)夕食量の増加や肥満のリスクを高めたりしてしまう。さらには仕事のパフォーマンスも落ちるということだ。

 また、筋肉量が減少する恐れもある。

「何時が朝でもいいのですが、目が覚めたらタンパク質を補給することです。起き抜けは栄養素が枯渇していて、その状態で動き続けると体は筋肉や骨に含まれる貴重なタンパク質を分解し、生きるエネルギー(ブドウ糖)を生みだそうとします。筋肉が衰えてしまうのです」(大池氏)

 筋肉量の減少は血中の糖を取り込む量を減らして体脂肪がつくられやすい体になり、基礎代謝(じっとしていても消費されるエネルギー)の低下を招いて、肥満につながる。

朝食は「かなり食べても太らない」
朝食で最もお勧めな一品は「ツナ」

 現在、40代女性の私自身も20代前半の頃は、身長165センチに対して体重67キロだったが、朝食をしっかり食べるようにして12時間以内に夕食を終わらせる生活スタイルにしてから、15キロの減量に成功している。現在、体重は52キロで、BMI19、体脂肪20%。

 ちなみに朝は白米を茶碗大盛り1杯(200g以上)食べるし、カレーやしょうが焼き、時には揚げ物などこってりしたものをおかずに食べる。3食摂取(白米が多い)で、間食も時々。にもかかわらず、この20年間、体重が増えたことは一度もない。

「基本的に、朝食はかなり食べても太らない」と柴田氏も言う。

1日「1食」または「2食」は太りやすい

研究者が教える「ラクに確実に痩せる」コツ、毎日食べると「太りにくくなる」ものとは?Clinical Nutrition ESPEN Vol60(2024)P179-186をもとに柴田重信氏が解説。1日の「食事の回数」「食事の割合」と肥満の関係の調査。18歳から65歳までの、ブラジル全地域で出生し居住している約2000人が参加。 拡大画像表示

 私は白米、みそ汁、卵焼き、サラダを中心とした朝食だが、ダイエットの観点から朝食で最もお勧めな一品は――。愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員で管理栄養士の古谷彰子氏は「ツナ」を一押しする。

「魚油、つまり魚を食べることで体脂肪の蓄積を抑制して肥満を防ぎます。それも朝に摂取したほうが、その効果が強く得られるのです。また、私たちの研究ではサンマ、イワシ、ニシン、マグロなどの魚の中で、マグロが最も体内時計のリセット効果があることがわかりました」