
新卒の就職者数は、企業の成長力や経営戦略、さらには“序列”を反映するバロメーターだ。高学歴の学生を数多く採用できていれば、それだけブランディング力が高いことの証左であるし、新卒採用の増加数も業績の勢いを示す材料といえる。そこで、特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#47では、ゼネコン・デベロッパー・ハウスメーカーなどの建設・不動産業界における、東京大学からMARCH・関関同立までの「難関大学」の就職者数の割合が高い企業のランキングをお届けするとともに、ここ10年での新卒の就職者の増加数と各大学の内訳を完全網羅したデータをつまびらかにする。これを見れば、業界内での企業の採用傾向が一目瞭然だ。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
建設・不動産業界で難関大就職者が多いのは?
三菱地所、住友不、鹿島、清水建設…詳細を大公開
高学歴の大学生を数多く新卒採用しているのはどの企業か――。
新卒採用は、企業の成長力や経営戦略を示す格好のバロメーターだ。新卒の就職者数の増加数は、企業の成長力を示す分かりやすい材料であるほか、就職者数が減少している場合も、“少数精鋭化”といった経営戦略の変化を如実に表していることが多い。
中でも、特に注目が集まりやすいのが、高学歴の学生の採用数だ。難関大学の卒業生を多く採用できていれば、それだけ企業のブランディング力が高いということの証明になる。また、難関大の就職者数が多い企業は、世界規模での活躍や高年収を望める企業であることも多く、優秀な人材を引き付ける魅力的な環境という評価も高まりやすい。
そこで今回、大学通信提供のデータを基に、東京大学などトップクラスの国立大学からMARCH・関関同立まで22大学を「難関大学」とし、その就職者数の割合を基にした「難関大就職者割合ランキング」を作成した。
具体的には、2024年3月に大学・大学院を卒業・修了した就職者数のうち、「東京一工」「旧帝大」「早慶上理」「関関同立」「MARCH」の各大学の就職者数を集計。全就職者数に対する割合を企業ごとに算出し、業界ごとにランキングを作成した。
さらに、今回は、企業ごとの採用傾向を完全網羅するために、10年前の採用数とその増減、大学ごとの内訳とてんこ盛りに掲載した。これを見れば、各企業がどのような成長のモメンタムにあるか、また“エリート学生”をどれだけ採用できているかやどの大学群に強いかも全て一目瞭然だ。
今回は、ゼネコンやデベロッパー、ハウスメーカーなど建設・不動産業界24社を対象としたランキングを公開する。
大手の不動産企業、特に財閥系デベロッパーは少数精鋭の狭き門で知られている。高学歴は前提で、その中でも頭脳が優秀であったり、体育会系の出身者であったり、人脈を持つ育ちの良い層であったりをバランスよく採用するのが特徴の一つだと業界関係者はいう。
一方、建設業界は現場勤務などもあるため、これまで他業界に比較して人気が低かったものの、待遇改善を進めるなど人手不足の解消に向けた動きを見せている。また、大手ゼネコンでは、設計などの技術職で国立理系のエリートが採用されているなど、決して採用ハードルが低いわけではない。
鹿島、清水建設、大林組、大成建設、竹中工務店、大和ハウス工業、住友林業、長谷工コーポレーション、日揮ホールディングス、三菱地所、三井不動産、住友不動産、野村不動産、東急不動産……次ページで結果を見ていこう。