
新卒の就職者数は、企業の成長力や経営戦略、さらには“序列”を反映するバロメーターだ。高学歴の学生を数多く採用できていれば、それだけブランディング力が高いことの証左であるし、新卒採用の増加数も業績の勢いを示す材料といえる。そこで、特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#54では、電機・電子業界における、東京大学からMARCH・関関同立までの「難関大学」の就職者数の割合が高い企業のランキングをお届けするとともに、ここ10年での新卒の就職者の増加数と各大学の内訳を完全網羅したデータをつまびらかにする。これを見れば、業界内での企業の採用傾向が一目瞭然だ。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
電機・電子業界の難関大の就職者の内訳は?
日立、NEC、京セラ…詳細データを公開
高学歴の大学生を数多く新卒採用しているのはどの企業か――。
新卒採用は、企業の成長力や経営戦略を示す格好のバロメーターだ。新卒の就職者数の増加数は、企業の成長力を示す分かりやすい材料であるほか、就職者数が減少している場合も、“少数精鋭化”といった経営戦略の変化を如実に表していることが多い。
中でも、特に注目が集まりやすいのが、高学歴の学生の採用数だ。難関大学の卒業生を多く採用できていれば、それだけ企業のブランディング力が高いということの証明になる。また、難関大の就職者数が多い企業は、世界規模での活躍や高年収を望める企業であることも多く、優秀な人材を引き付ける魅力的な環境という評価も高まりやすい。
そこで今回、大学通信提供のデータを基に、東京大学などトップクラスの国立大学からMARCH・関関同立まで22大学を「難関大学」とし、その就職者数の割合を基にした「難関大就職者割合ランキング」を作成した。
具体的には、2024年3月に大学・大学院を卒業・修了した就職者数のうち、「東京一工」「旧帝大」「早慶上理」「関関同立」「MARCH」の各大学の就職者数を集計。全就職者数に対する割合を企業ごとに算出し、業界ごとにランキングを作成した。
さらに、今回は、企業ごとの採用傾向を完全網羅するために、10年前の採用数とその増減、大学ごとの内訳とてんこ盛りに掲載した。これを見れば、各企業がどのような成長のモメンタムにあるか、また“エリート学生”をどれだけ採用できているかやどの大学群に強いかも全て一目瞭然だ。
今回は、総合電機や精密機器、電子部品やITベンダーなどをまとめた電機・電子業界を対象としたランキングを公開する。
電機・電子業界は、日本の基幹産業だけあって、就職者数も多く、理系を中心に高学歴の学生が多数就職している。
IT事業のボリュームが大きい富士通やNECなどは、近年デジタル化の波に乗って業績を大きく伸ばしているほか、ソニーグループや日立製作所など、構造改革を経て目覚ましく成長した企業もある。また、半導体関連の企業は、デジタル化の進展やAIブームなどを背景として高成長を続けてきた。景気の波などはあるが、全体として好調な業界といえる。
では、各企業の就職者データの詳細はどうなっているのか。ソニーグループ、日立製作所、パナソニック、三菱電機、シャープ、東芝、富士通、NEC、日本IBM、キヤノン、ニコン、オリンパス、富士フイルムビジネスイノベーション、村田製作所、京セラ、オムロン、東京エレクトロングループ、SCREENグループ、レーザーテック、ディスコ、アドバンテスト、ルネサスエレクトロニクス、キーエンス、ファナック、安川電機、コニカミノルタ……次ページで結果を見ていこう。