
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、今回はゼネコン・ハウスメーカー業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#7では、ゼネコン・ハウスメーカー業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで42人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
ゼネコンは従業員の年収高く
幹部の年収は控えめで倍率低い
現在、ゼネコン各社は人手不足や建設費高騰を逆手に取り、採算が確実に取れるプロジェクトを選ぶ「選別受注」を繰り出している。その結果、2025年度は過去最高益を更新した17~19年度以来となる、わが世の春を迎える公算が大きい。
その割には『【ゼネコン・ハウスメーカー42人】1億円以上稼ぐ取締役・実名年収ランキング!鹿島、清水、大林、長谷工、大和に積水の幹部はいくらもらってる?』で伝えたようにゼネコンの幹部の年収は、さほど高くない。
一方で、ハウスメーカーの幹部は高い年収を受け取っているケースが目立った。
では、ゼネコン、ハウスメーカー共に、幹部と従業員の年収の格差は、いかほどだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのはゼネコン・ハウスメーカー業界だ。
では、ゼネコン・ハウスメーカー業界での「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収との格差が大きいのは誰なのか?
なんと、19位まで大手ゼネコンは登場せず、上位の多くをハウスメーカーの幹部が占めている。ゼネコンの一般の従業員の年収は、鹿島が1177万円、大林組が1066万円と高い上に、幹部の年収が控えめなのが理由だ。一方、ハウスメーカーはその逆で大和ハウス工業の965万円を除けば、ほとんどのハウスメーカーの一般の従業員の年収は600万~800万円台な上に、幹部の年収が高いため格差が開く結果となった。
タマホーム、東建コーポレーション、大和ハウス工業、積水ハウス、日本アクア、日本ハウスホールディングス、高田工業所、インフロニア・ホールディングス、金下建設、大気社、鹿島、大林組、高砂熱学工業、住友林業、長谷工コーポレーション、清水建設といった企業の幹部たちの年収はいくらで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。