コレステロール値が高い人に対して「卵は避けるように」と指導が入るのは、卵が最も多くコレステロールを含む食品だからです。
ただ、医師の指導通りに卵の摂取をやめたからといって、コレステロール値が下がるとは限りません。というのも、食事由来のコレステロールは2~3割にすぎず、7~8割は肝臓でつくられるからです。つまり、食事に気をつけても、コレステロール値が下がりにくい体質の人がいるのです。
加熱しない生卵を
毎日1個以上食べよう
健康診断などで測定されるコレステロール値は、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)に分けて表示されます。単純に総コレステロール値が低ければ良いのではなく、善玉と悪玉の割合が問題です。
悪玉の割合が多ければ動脈硬化が進み、心臓の血管が狭くなって心筋梗塞(こうそく)を起こしやすくなります。卵の摂取を控えて総コレステロール値が低くなっても、善玉と悪玉のバランスは別問題。それならば、食べすぎにならない程度に卵を食べるべきです。

卵の栄養価はとても高いので、まったく食べないのはもったいない話です。卵1個(約50グラム)あたり、タンパク質6.2グラム、脂質5.2グラム、カルシウム26ミリグラムなど、さまざまな栄養素がバランス良く含まれています。毎日1個以上の卵を食事に組み込むようにしましょう。
なお、卵は加熱するとビタミン類のいくつかは消失し、タンパク質も変性します。そこで、私は毎日、生卵を1個以上食べることをおすすめしています。
米飯を食べるときに、卵かけご飯にするのも良いでしょう。米飯は糖質の塊ですから、そのまま食べると血糖値が急激に上がります。でも、卵かけご飯にすれば、卵に含まれるタンパク質や脂質などが糖質の吸収を少し抑えてくれるので、血糖値の上昇が比較的穏やかになると同時に、太りにくくなるのです。