「大豆が原料だから“soy sauce”」は大誤解!日本人も知らない意外な由来とは?〈英文学者が解説〉写真はイメージです Photo:PIXTA

昭和の頃に豊満な女性を指す言葉として使われた「グラマー(glamour)」と、「文法」という意味の「グラマー(grammar)」。カタカナが同じなだけで全然違う単語だが、この2つには読み方以外にも大きな関係があるのだという。一見無関係な単語がつながっている、英語の秘密を見ていこう。※本稿は、安藤 聡『英文学者がつぶやく 人生を豊かにするかもしれない英語と英国文化の話』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。

「glamour」と「grammar」
全然違う単語の意外な関係

 昭和の頃、豊満な体型の女性を「グラマー」と称した。英語のglamour(名詞で「魅惑」、動詞で「魅了する」)に由来するのであろう。平成の初めの頃、「巨乳」という言葉が一部で使われ始めたことで、入れ違いに死語になったような気がする。

「文法」もまた「グラマー」である。カタカナで書くとglamourと同じになってしまうが、英語ではgrammarだから全然違う。そういうわけで昭和の死語を知らない昨今の学生や若者たちにとっては、日本語で「グラマー」と言えば「文法」しかないであろうが、昔は「グラマー」には意味が2つあったのである。しかも面倒なことに、日本人英語学習者はlとrの区別が苦手だからglamourとgrammarは初歩の段階で混乱しやすい。

 だが、全然違うはずのglamourとgrammarは意外にも大いに関係があり、いずれも同じラテン語、さらに遡れば同じギリシア語を語源とする。「グラマー」はラテン語grammaticus/grammatica(「文法」「文法学者」の意)に由来するもので、そのラテン語はギリシア語grammatike(「文字に関する知識」「文法」)に由来する。