文化遺産に登録された
フィンランド式サウナ
フィンランド式サウナの伝統は2020年に国連教育科学文化機関・ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。サウナという施設そのものではなく、国や法律がなかった時代からずっとサウナを大切にしてきたという歴史、そして今も入り続けているという、生きている伝統が評価され、無形文化遺産での登録となったのです。
日本でも20世紀中頃までは自宅出産が一般的であったと思いますが、19~20世紀初期のフィンランドでは、サウナは清潔な場所なので(もちろん火を入れていない状態ですが)そこで出産をしたり、亡くなった人のご遺体を清めたりすることもあり、生きるための心のよりどころのような役割も果たしていました。
なぜサウナは、熱い空間であるにもかかわらず、老若男女が楽しめるのか。実はフィンランドのサウナはドライで熱すぎることもないからです。
フィンランド式サウナの定義として、サウナヒーターで熱した石の上に水をかけて水蒸気を発生させるという「löyly(ロウリュ)」ができることが条件としてあげられます。このロウリュができないとサウナではなく、ただの熱い部屋になってしまうため、とても重要です。
実はフィンランドではサウナ室のことを「löylyhuone(ロウリュフオネ)=ロウリュ室」と呼ぶことも一般的です。
フィンランド式サウナには吸気や排気ができる換気口がついていて、そして、「ロウリュをかける」より「ロウリュを浴びる」ことが大切です。酸素をたくさん含んだフレッシュエアーが室内に入り、適度なスチームが常に循環しています。
このロウリュを浴びれば、年齢にかかわらず何分でもおしゃべりしながら入れます。細かいことを書き始めたらそれだけでも本になりそうなのでここでは割愛しますが、サウナは苦手、息苦しい…という人でも、フィンランドに行ってフィンランド式サウナを体験してからサウナにハマる人が多いです。