私が思う理想的なサウナの入り方は、自然豊かなところでサウナの後に湖か海で泳ぎ、ベランダや庭で外気浴をする、これをゆっくり誰かと会話を楽しみながらくりかえすと、フィンランド式サウナのよさを最大限感じられると考えます。そしてサウナ後にフィンランドのサーモンスープやベリージュースが楽しめると最高です。

 フィンランド人は元々自分の庭に建てたサウナ小屋を使い、その後都市化とともに銭湯のような公衆サウナが普及しはじめました。近年は都市部でもマンションの共用サウナや電気ストーブでロウリュができる自宅サウナが増えたことで、公衆サウナが減り続けていました。これは日本の銭湯の減少と同じようなことが起きているのかもしれません。

 しかし、時代と人のニーズが変わり、人と会う機会が少なかったコロナ禍を経て、人との交流の場所がほしいという空気が生まれ、近年はレストラン付きの公衆サウナ、「サウナレストラン」が盛り上がっています。サウナに入った後においしいご飯を食べたりドリンクを飲んだりできるのが人気でフィンランド全国にできつつあります。

サウナは小さな社会であり
誰にとっても平等な空間

 サウナに入ると、その場がフィンランドの社会のミニチュアであるようにも感じます。木造のシンプルな建築、時代にとらわれないデザインは自然との共存を感じられるだけではなく、平等な空間であることも実感できます。

 サウナに入れば、名刺交換はしないし、肩書や役割分担も忘れます。隣が大統領だったとしても、サウナに入っている人はみんな一緒、「サウナに入っている人」というだけです。