対処方法を学ぶ前に
怒りに気づく練習が必要
ちょっとしたきっかけで瞬間的に怒りを爆発させてしまう人に、こうした対処方法を紹介すると、しばしば「こんなの意味がない」という反応が返ってきます。というのも、カッとなって頭に血が上ると、もうその対処方法を使うことを思いつかない状態になってしまうからです。
確かに、いくら対処方法を学んでいても、肝心のときに使うことを思いつかなければ何の役にも立ちません。衝動的に怒って、後から気がついたとしても、それはもう手遅れなのです。
こうした場合、まずは怒りに気づく練習が必要です。怒りに我を忘れてしまうのではなく、怒りに気づいておけるようになる練習です。
1人で静かに落ち着いていられる時間の中でゆったりと呼吸しながら、カッとなってキレてしまった場面を思い出してイメージしてみましょう。ビデオ録画されたその場面を再生するような感じです。
そして、その場面で感じられる怒りに気づきながら、怒りに気づいている自分を失わないようにキープします。
「怒りがそこにあるなぁ」と感じながら、怒りと共にいる自分を意識します。深く息を吐きながら、激しい怒りを感じている自分に気づいて、リラックスするのです。

その場面をイメージすると、そのときと同じように激しい怒りに取りつかれてしまうという人がいるかもしれません。その場合は、心の中で大きな部屋をイメージするところから始めます。そして、その部屋の遠い片隅にテレビがあるとイメージします。
そのテレビに、カッとなってキレてしまった場面の動画が写し出されているとイメージしてみましょう。遠くのテレビの小さな画面に、相手とあなたが写っています。そうイメージしながら、深く息を吐きましょう。そして肩の力を抜きます。
怒りに乗っ取られそうになったら、その度に画面上の動画を一時停止して、深く息を吐きます。
こうした練習を何度も繰り返して、根気よく続けていけば、カッとなってキレてしまうことは必ず減っていくはずです。