
終戦記念日に、嵩は誓う「みんなの心のトゲを抜いてあげたい」
帰宅した嵩は、ついさっきまでヤムがソファに座っていたと知って、会いたかったなあとつぶやく。
そして、のぶからヤムがこれまでずっと抱えてきた戦争の傷を聞く。
戦争に巻き込まれて以来、「なんとか命拾いして日本にもどってきたとき決めたんだ。国だの戦争だの、そんなものに二度と振り回されるものかって。そこからはずっと根なし草さ」
だから彼は、10年も朝田家にいながら、一度も食卓を共にすることはなかった。どんなに近づいても一定の距離を保ち続けた。やたらと斜に構えた言動は何かに帰属したり、密接に関わったりすることを慎重に避けてきたのだろう。
のぶが「愛国のかがみ」になったとき、純真だった彼女が国や戦争に振り回されていることに相当胸を痛めたに違いない。
のぶは嵩がいたから救われた。でもヤムは、どんなに強がっていても心にはまだトゲが刺さっている。そうのぶは嵩に語る。
そして、8月15日。終戦記念日に嵩は、戦争で大切な人を亡くした人たちのために何かをしたいと考える。
「ヤムさんやみんなの心のトゲを抜いてあげたいんだ」
嵩は引き出しから、アンパンを2個持って空を飛ぶ、太ったおじさんのラフスケッチを取り出した。
まだ、作品化されていないこのおじさんが、嵩にとって「みんなの心のトゲを抜く」存在になり得ると考えている。
中園ミホはこの回についてこう語っている。
「終戦記念日を描いたのは、柳川強チーフディレクターのアイデアです。柳川さんは『花子とアン』をはじめとして戦争に関するドラマをこれまでもたくさん手掛けていて知見があり、私がとても信頼しているかたです。柳川さんのアイデアで終戦記念日と嵩が『アンパンマン』を再び描き始めることを重ねました」
のぶを救った嵩はヤムを救うこともできるのか。