菊地社長「でも……もし150万円を超えてしまったら、健康保険の扶養は即座にアウトということですか?」

カタリーナ「一時的に年収が150万円を超えても、事業主の証明があれば認定の継続は可能よ」

所得税は1~12月の年収、健康保険は「今後1年の収入見込」で判断

菊地社長「それなら安心だ。ところで、年収ベースで考えるときは1月から12月までの1年間で考えればいいんですよね?」

カタリーナ「所得税法上の扶養親族は、その年の1月1日から12月31日の実際の年間収入で判断するの。それに対して健康保険法上の被扶養者は『今後1年間の収入見込』で判断するのが大きな違いよ」

菊地社長「見込額でいいんですか?」

カタリーナ「ええ。具体的には、認定対象者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むことになるわ。この考え方は以前から変わっていないけれど」

菊地社長「なるほど。それは知りませんでした」

カタリーナ「もう一つ。19歳から22歳までの年齢要件は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定するの。学生であることは要件とされていないわ」

菊地社長「そうなんですね。いずれにしてもこの年代は何かとお金もかかりますから……」

カタリーナ「今度説明会を開いて、従業員の皆さんにも早めにお知らせしましょうね」

<カタリーナ先生からのワンポイント・アドバイス>

●令和7年度の税制改正において、19歳以上 23 歳未満の者への特定扶養控除の要件の見直し及び特定親族特別控除の創設が行われたことを踏まえ、健康保険においても19歳以上 23 歳未満の被扶養者認定要件(被保険者の配偶者を除く)が年間収入130万円未満から150万円未満へ見直されることになった。令和7年10月1日から適用される。

●健康保険の被扶養者における年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定する。学生であるか否かは問われない。なお、令和7年10月1日より前の期間について認定を受ける場合には、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定される。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)