元則「無理だよ!仕方ないだろ?人手が足りないからって、店長に頼まれると断れないんだよ」
菊地社長「今年どのくらいの年収になりそうなんだ?」
元則「年末にはもっとシフトが増えそうだから、140万くらいにはなるかもしれない」
菊地社長「えぇっ!それは稼ぎすぎだろう」
元則「そんなこと言ったって……新しい人は入ってこないし、俺だって簡単にバイトはやめられないよ」
菊地社長「まったく、面倒なことになったなぁ……」
息子のバイト代が103万円の壁を越えてしまいそうなんです
翌日、たまたま顧問社労士であるカタリーナと、人事部長を交えて就業規則の打ち合わせがあった。
カタリーナは、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士だ。これ幸いと、菊地は帰りがけのカタリーナに声をかけてみることにした。
菊地社長「先生、個人的なことなんですが、ちょっといいですか?」
カタリーナ「あら、どうかされました?」

菊地社長「いやぁ、うちの愚息が飲食店でアルバイトをしているんですが……扶養の年収範囲を大幅に超えてしまいそうなんですよ」
カタリーナ「まぁ、もうそんな年頃だったかしら?」
菊地社長「はい、今年で20歳になりました。学生の本分は勉強だと言ってるんですがね。人手不足でシフトを入れられてしまうらしくて」
カタリーナ「今は学生バイトも貴重な戦力だから、息子さんも断りきれないのかもしれないわね」
菊地社長「それで気になっているのが扶養のことです。息子を扶養に入れるには、年収ラインがありますよね?たしか103万円だったと思いますが……」