
老朽化した設備の更新が課題
山田 うちは筑波大学の附属の中では外様です。アカデミックな点は昔から変わりませんが、文京区の本家とは離れていて、自由にできる面はあります。
――とはいえ、トップリーダーを育てる教育の実験的実践校という位置づけですから、別格ですね。職員室はないと聞きましたが。
山田 教科ごとの準備室に居を構え、大学の教員と同様、基本的には長く同じ所にいます。年に1回は地域の世田谷区・目黒区の方を対象にしたイベントも行い、もう10年以上続いています。筑駒ジャグラーズや科学部など、生徒もお手伝いで参加します。いまは二言目には働き方改革を言われます。行事を増やすとやめるのが難しいので、まずは現状を維持することが基本となります。
――校内を拝見すると、いかにも国立大学の附属という雰囲気がします。
山田 この体育館が竣工したのは1964年6月30日です。同年10月の東京五輪大会に出場した女子バレーボールの練習会場にもなったといいます。その後、床板は張り替え、照明はLEDにしましたが、建物はその当時のままです。
――“東洋の魔女”ですね。屋外のプールもありますし、広々とした土の校庭も、都心の学校では珍しいですね。ただ、国立大学の付属校は資金不足で大変そうですね。校舎も古くなってきますし。
山田 どこの附属学校も、運営費交付金を年々減らされており、保護者からの寄付金なしには運営が難しいです。とはいえ、校舎の建て直しは数十億円必要で、寄付金で何とかなるレベルでもありません。
教室のエアコンも寿命です。数百万円するユニットの室外機が20カ所以上ありますけれども、古くて部品もない状態です。体育館のエアコンがようやく取り付けられることになりましたが、手続きに時間がかかるので、来年の夏からになります。
――今後の課題は、やはり寄付でしょうか。
山田 在校生保護者からの年6万円の寄付金が重要な原資ですが、ここ数年で物価が急に上がったこともあり、年度途中で不足することも出てきました。
――私立だと年30万円くらいですね、私立は授業も軒並み上げしています。OBからの寄付はいかがでしょう。
山田 大口の寄付をしてくださる方がときどきいらっしゃるのですが、どう使うかという点で、われわれもなかなか意見がそろわない状況です。運用するにしても、学校本体が法人格を持っているわけではないのでテクニカルに難しいこと、貯金が正義で投資はギャンブルという教員も多く、方向性が定まっていないことなど、解決すべき問題が多いです。
2026年には創立80周年を迎えます。今後も卒業生の方からの寄付はあると思われるので、使途や運用についてしっかり考えなければいけないです。
