
「子どもの学費は親が出して当然」。そう思って二人の息子を大学まで行かせた50代の夫婦。返済は自分たちでするつもりで次男に奨学金を借りさせて大学に行かせましたが、試算すると、退職金があっても老後資金が心配ということに……教育費と老後資金、あなたならどう線引きしますか?(家計再生コンサルタント 横山光昭)
奨学金を利用して大学に通う学生が増えている
教育費は、人生で最も大きな支出となることも多いもの。近年、高校の授業料無償化や、多子世帯向けの大学授業料減免といった制度が整い、家計の負担を軽減する施策が進んでいます。たとえば、公立高校の授業料は完全無償化され、大学も多子世帯であれば、国公立大学で最大年間54万円、私立大学では最大70万円の授業料が軽減されます。
一方で、奨学金を利用して大学に通う学生は増え続けています。日本の大学生の約55%が貸与型奨学金を利用しており、学費の高騰を補うための頼れる制度となっています。本来、奨学金は学生本人が卒業後に返済するものですが、親が肩代わりするケースも少なくありません。
親が奨学金の返済を肩代わりすると、一時的に子どもの生活を支えられても、親自身の老後資金を圧迫するリスクが高まります。特に50代以降の家庭では、定年後の生活費や住宅ローン、介護費用といった出費が重なるため、長期にわたる返済負担は老後資金の不足を招きかねません。
今回ご紹介する50代のご夫婦も、奨学金の肩代わりが老後資金を圧迫する一因となっていました。