●そんな「特別分配金」は、別名「元本払戻金」という。この「払戻金」という名称こそが「本質を正確に言い表している」のだが、それをわざわざ「特別(な)分配金」と誤解している人が多いのも事実である。本来の利益分配の結果生まれる「普通分配金」より、あたかもさらによいものであるかの如く誤解している、いや誤解というより「そもそもその違いを理解していない」人が多いようである。

元本払戻金を使った
“じぶん年金”の提案

 もはや「年金だけで生活できる人はほぼいない」、これは周知の事実です。

 年金額の多寡は別として、もし他になんの収入もなければ、あとは基本的に銀行の普通口座から「ただ漫然と不足額を下ろす」しか選択肢がないのが実情です。

 そこで必要となるのが「より現実的なアプローチ」の存在です。

 どうせ「下ろす」だけなら、この機会に、いったん毎月分配型の投資信託に投資をし、前述した「特別分配金」つまり「返戻金」としてリベート(キックバック)を受けてから、不足する生活費へ充ててみるのはいかがでしょう?

 その結果、少しでも投資信託の「口数」を残しつつ――つまり、将来の利益分配金の受領の可能性を残しながら――払い戻し(元本払戻金)を非課税で受け取り(イコール自分の普通預金から下ろしたのと同じこと)、毎月の生活費に充当するという考え方です。

 そうするためにも、自分が手にした分配金の内訳は、その都度きちんと把握しておくことが大切となります。ですから、前述したように、それをちゃんとレポートしてくれる証券会社を利用することが前提となります。

 そのためには、わざと複数の証券会社で口座を作り、自分にとっての使い勝手を検証してみるというのも、また現実的なアプローチでしょう。

 ちなみに、私自身は、大手ネット証券会社2社と、いわゆる昔からの日系大手の証券会社の3社に投資用の証券口座を持っており、それぞれの使い勝手の比較検討をしてきました。

 その結論からいうと、どの会社にも一長一短があり、「ここがイチバン」と自信を持ってお勧めできる会社はありませんでした。