いわゆる「相場が安くなったので、(口数を)増やすのに絶好のタイミングだ」ということですが、これは私の例のように、すでに有り金をすべて突っ込んでしまった人間にとっては、まさにただ黙って指をくわえて眺めるしかなかった「苦い思い出」の時期となりました。

「1つのカゴにすべてを盛るな」
投資の金言が身に染みた

 トータルリターンのマイナス金額が増えているにもかかわらず、前述したような買い増しによるいわゆる「ナンピン(難平)買い」ができなかったわけですから、将来マーケットが反転した時に、そのメリット(取得単価の押し下げ効果)が一切享受できないことになり、お話になりません。

 しかも、もし仮に、そのままマイナス状態が続いて「分配金が出ない」事態にでもなったら、直ちに「生活費が不足する」ことになります。さらに購入時より下がった基準価額で、一部もしくは全部解約してキャッシュ(生活費)を手にするしかない状態にでもなれば、ダブルで悲惨な結果を迎えることになります。

 したがって何事も、「ほどほど」がよい、つまり「1つのカゴにすべてを盛るな」が身に染みた出来事でもありました。

 なるほど「余裕を持てとはこのことか」と思い知った出来事でしたが、結局のところ、サラリーパーソンにとっての収入源というのは、よほど魅力ある副業でもない限り、本業からのサラリーですから、たとえば定年を迎えてそのサラリーを受け取れなくなってしまったとしたら、なんとしても同じ金額を確保する必要があるわけです。

 ただしその確保するための努力は、いつまでもダラダラと、もしくは無理して続ける必要はなく、その意味で目標となるのは、たとえば前述したような、仮に1000万円用意できたら月額約12万円、私と同じ2000万円なら約24万円、それが倍の4000万円までなんとか頑張れたらとしたら月額48万となり、年金支給額の20万と合わせて、なんとか必要な生活費である70万円弱を確保することができる(つまりFIREが可能となる)となるわけです。

老後に備えると言うが……
「本当の老後」はいつ来るのか?

 このように、「ニワトリが先か、卵が先か」ともいえるこの悩ましい状況への答えは1つで、この場合は「ニワトリ」――つまり種銭を確保することが先となります。

 そして一度それが確保できたら、そのニワトリ(金のなる木でも同じですが)が、毎月そのニワトリの数に応じた分配金を産んでくれるというわけです。