「引き出しながら増やす人」から、「ただ引き出すだけの人」になる、その時こそが「本当の老後」の始まりです。

 どれだけ「生涯現役」を謳ってみたところで、自分の意思や都合だけではどうしようもない、そんな時は必ず来るでしょう。

 ただそれがいつ、どうやって訪れるのかは、誰にも分かりませんから、多くの老人と呼ばれる人たちは「その日まで増やし続ける」、その努力をし続けるのが今の日本です。

(老人の)お金がないと言う言葉を、真に受けてはならない。本当に貧困にあえぐ人たちもいるが、一般老人はなぜお金がないか。

 貯金するからだ。

 年金をやりくりし、生活を切りつめ、『老後のために』と貯金するからだ。

 まったく、今が老後だろうが。

(『すぐ死ぬんだから』内館牧子著、講談社)

 内館先生の作品は大好きで、よく拝読させていただいていたのですが、とりわけ前述したように、いわば老人が本当の意味で「自分はいま老後なのである」と自覚するのは、「貯金ができなくなった時である」と暗に指摘されているのは、まさに我が意を得た思いでした。

「毎月分配型」で安定の
定年後生活をめざす

 巷間いわれている「賢い減らし方」の1例が、「定率法」です。たとえば、無理なく3%のリターンを狙って運用をしながら、4%の定率で引き出しをする限り、「死ぬまで持ちこたえそう」という考え方ですが、これも老人には無意味です。

 何しろそんな「3%のリターン」を、この先ずっと実現する金融資産の運用ができるぐらいなら、まずその程度のリターンで満足できるわけがありませんし、すでにこれまでにやってこられているでしょう。

 そしてこのことこそが、私が提案したルールの1つである、「難しいことは考えなくても、安心・安定して見立て給与が入る」、毎月分配型のメリットといえます。

 今あなたが必要としている「毎月不足する生活費」というものは、運用する金融資産に対して○%といった、比率で算出される「変動不足生活費」なのではなく、「毎月あと10万円は必要だ」といった「固定不足生活費」のはずです。

 そうすると、手元の虎の子である2000万円の半分(1000万円)を投資するだけで、毎月「手取り」で約12万円を手にすることが可能だという本記事の主張(分配金生活)は、あなたにとって大いに魅力的な方法のはずです。