よく、「必要以上に貯め込む」といった表現を目にしますが、この場合における「必要額とはいくらなのか?」について、いつまでも曖昧なままにしておくことはできません。

 もっとも、その必要金額は、人によってまさに千差万別であるのはいうまでもありませんが、本書では2000万円を、なんとか「虎の子」として確保できた場合(もしくはそれを目標として今頑張って貯めている最中の方々)を想定しています。

 ですから、たとえばその虎の子を、すべて費やして、私のようにとある毎月分配型の投資信託を購入したとすると、毎月の分配金は約24万円となり、あなたの毎月の「年金だけでは絶対的に不足するものを、カバーしてなお余りある生活」が可能となります。

「分配金」月給生活へ
スムーズに移行するには?

 それはまた、これまでの給与生活と同じように、毎月自動的にほぼ同じ日に「まるでお給料のように」振り込まれる生活を確保することも意味します。

 月24万円×12カ月=288万円/年となる金額ですから、もしそれが本当なら(本当なのですが)、年間リターンは14%になる「強い味方」であることは、いうまでもありません。

 そしてもし仮に、「分配金生活」を、現役時代の後半、つまり「定年退職」が視野に入ってきたあたりから同時進行できたとすると、いきなり突入した私のようなケースに比べて、よりスムーズな「分配金」月給生活へと移行することが可能です。

 その方法は簡単で、ただ毎月の分配金を「受け取り」ではなく「再投資」にしながら、その「受取額」に、予想される「年金額」を足した合計金額の範囲内で、退職後の生活をまかなえるかどうかを、シミュレーションを繰り返すのです。

「ねんきん定期便」で、だいたいの退職後の年金額は分かりますから、その金額と、毎月の分配金を合計した金額が、もし退職時生活費と同様かそれ以上であれば、ひょっとしたら「早期退職制度」を使って、さらに追加退職金を加えることで、念願の「悠々自適の退職後生活」が実現できるようになるかもしれません。

 過ぎ去りし日に文句をいったところで、何も得るものはないのですが、もし仮に許されるのなら、もう少し長めの「定年生活への助走期間」、とりわけ経済的な目途をつけてから始めたかったというのが、私の偽らざる気持ちです。

 その意味で、ここでご紹介したことが、少しでもこれから定年を迎える方々のお役に立てるとしたら、望外の喜びといえます。