重厚で快適なS:HEVと軽快な1.8Lターボ
明確に個性を分けた走り味に感心。どちらもいい!

 オンロード試乗では、S:HEV(2.5Lハイブリッド)のプレミアムとDIT(1.8Lターボ)を積むスポーツで一般道と高速道路、そしてちょっとしたワインディングをドライブ。両車のキャラクターの違いがよくわかった。

 日常的によく使う速度域、つまり発進から80km/h前後までは、S:HEVのリニアなレスポンスと力強さが心地よい。エンジンが再始動してもまったく気にならないほど綿密に手当てされており、静粛性は非常に高い。

 新たにリーン燃焼を採用したDITと制御を最適化したリニアトロニックを組み合わせたスポーツも大幅に洗練されていた。

 スポーツは低回転域からターボらしい力強いトルクを発生し、踏み増すと伸びやかに吹き上がる。CVTにありがちなクセを払拭したリニアトロニックも好印象。気持ちのいい加速フィールが味わえた。

 軽快なドライブフィールという点でもスポーツは際立っていた。以前のサーキット走行で感じたキビキビ感は一般公道でも健在。S:HEV比で約100kgという実際の車両重量差以上にずっと軽やかに感じられる。

 ハンドリングもいい。リラックスして乗れるよう動きを穏やかに味付けしたプレミアムに対し、ステアリングの切り始めから俊敏に回頭する。これほど軽快に走れるのだから、乗り心地がそれなりに硬いのではと思いきや、そうでもなかったのは意外だった。いくぶん振動は見受けられたものの不快な突き上げはない。これなら家族を乗せても不満は出ないだろう。タイヤ径がプレミアムより1インチ小さい18インチということも効いていそうだ。

 乗り心地そのものは、快適性重視のセッティングを施し、リアのダンパーロッドを延長したプレミアムはもっといい。とくに後席は、ライバルと比べても最良。静粛性についても同様で、これほど明瞭に前後席間で会話できるクルマは、このクラスでは他にない。

 気になる燃費は、今回は正確に計測していないが、S:HEVは期待に応えていると思ってよさそうだ。一方のDITも従来に比べて全般的に向上しているという。

 新型フォレスターの完成度は実に高い。乗り比べてそれぞれのよさがよくわかった。いざ買うとなったら、どのグレードを選ぶか、本気で悩みそうである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗+SUBARU)

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