ホンダ「ZR-V e:HEV 4WD」のフロントビュー。全長4.5~4.6mクラスで全高1600mm台前半というディメンションは案外珍しいホンダ「ZR-V e:HEV 4WD」のフロントビュー。全長4.5~4.6mクラスで全高1600mm台前半というディメンションは案外珍しい Photo by Koichiro Imoto

SUVが世界の乗用車マーケットのメインストリームとなっている中、ホンダが新たなグローバル商品としてリリースしたクロスオーバーSUV「ZR-V」。そのハイブリッド+AWD(4輪駆動)版を、3600kmあまりロードテストする機会があったので、超マニアックに辛口レビューしよう。【前後編の前編】(ジャーナリスト 井元康一郎)

CセグメントSUVカテゴリー
ど真ん中はトヨタRAV4やVWティグアン
だけど“百花繚乱”

 ZR-VはCセグメントコンパクトクラスに相当するオンロード重視のクロスオーバーSUV。寸法は全長4570×全幅1840×1620mm。ホイールベース2655mm。

 CセグメントSUVカテゴリーは世界的に巨大市場となっていることから、商品の多様化も進んでいる。ど真ん中はトヨタ「RAV4」やフォルクスワーゲン「ティグアン」などスペースユーティリティ重視のモデル。さらに、格上のDセグメントクラスに迫る3列シートのロングタイプあり、旧式な立体駐車場に入る全高1550mm以下の低車高モデルあり、クーペSUVありと百花繚乱だ。

 全高1620mmのZR-Vはスペースユーティリティ重視型モデルとマツダ「CX-30」やレクサス「UX」など低車高モデルの中間的な性格と言える。ルーフが低いぶん軽量化、走行性能向上、疲労軽減などの面で有利だが、高さ制限のきつい旧式な立体駐車場に入れることはできない。低車高乗用車とは明確に区別される、れっきとしたSUVだ。

 エンジニアリングはホンダのグローバルコンパクトモデル「シビック」との共通性が高い。サスペンションは前ストラット、後マルチリンクの4輪独立型。日本仕様のパワートレインは1.5リットルターボ+CVT(無段変速機)と2リットル自然吸気+2モーターのストロングハイブリッド「e:HEV」の2種類。シビックと異なるのはAWD(4輪駆動)が用意されること。WLTCモード走行時の公称燃費は1.5リットルターボが14.6~13.9km/L、ハイブリッドが22.1~21.5km/L。

 乗車定員は5名。後席はスライド機構を持たず、荷室と居住区の比率を変えることはできない。ADAS(運転支援システム)「ホンダセンシング」は全車標準。インテリアの仕立ては基本的に豪華で、上位グレードはナビ機能付きディスプレイオーディオ、BOSEサウンドシステム、アクティブハイビーム、レザーインテリアなども標準で装備される。

 ロードテスト車両はハイブリッド「e:HEV Z」のAWD。ボディカラーは白、インテリアカラーは黒。試乗ルートは東京~鹿児島の周遊で総走行距離は3649.9km。季節は夏で猛暑傾向。エアコンは常時AUTO。