東京と神奈川の校長人事

 ここからはエリアごとに見ていこう。まずは東京区部から。上野学園(台東区)の小塩明伸氏は、都立足立東高校と千早高校の校長を経て、高橋公三子氏の後を継いだ。2025年に創立100周年となった成立学園(北区)の元呑(もとのみ)健司氏は、法政大学出身の国語科教員。第94回(12年)全国高等学校野球選手権大会に東東京代表として初出場した時に野球部部長も務めた。今夏全国大会で準優勝となった日本大学第三高校では捕手を務めた野球人である。

 実践学園(中野区)の野﨑啓太氏は、教頭、副校長を経ての就任。中高一貫コースを担当してきた。淑徳(板橋区)の五島德之(のりゆき)氏も教頭、副校長からの就任で、淑徳ひと筋である。新人の頃から中学ソフトテニス部の顧問も務めた。20年前から取り入れた習熟度編成「淑徳アドバンス」では、予備校教師による集団授業とOB大学生がメンターとして後輩を指導する。この仕組みを今年から中学生にも広げることに。

 幼稚園・小学校・中学校の一貫教育を行っている清明学園(大田区)。中等部の校長には、国士舘大学出身の体育科教員である高橋茂氏が就いている。18年には監督として、ソフトテニス部を初の全国大会優勝に導いている。

 次いで多摩地区の新校長を見ていこう。1927年創立の聖徳学園(武蔵野市)では、副校長の峯岸渉氏が伊藤正徳氏の後任となった。やはり聖徳学園ひと筋である。「STEAM & GLOBAL」をキーワードに、24年に高校にデータサイエンスコースを新設している。「個性尊重・自主自立・自由平等」を掲げる1924年創立の明星学園(三鷹市)の新校長である山領直人氏は、同校OBでもある。

 1923年創立で、大正自由教育運動の流れにある明星(府中市)。創立者である児玉九十は、戦後の私学界をリードした。26年から、新たに中高一貫教育の明星Institution中等教育部を立ち上げる。新校長となる井上一紀氏は、27歳から渋谷教育学園幕張(渋幕)の教壇に立った。ワンダーフォーゲル部で鍛えた肉体年齢はだいぶ若い。1990年の開校と同時に、渋谷幕張シンガポール校(現早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校)に赴任、生徒募集でアジア各国を回り、教頭も務め、その滞在は13年に及んだ。その後、11年間にわたり進路指導部長を務め、東大70人合格や海外大学進学などの実績により、渋幕を全国屈指の進学校に押し上げ、19年からは同校の校長補佐も務めた。

 八王子学園八王子(八王子市)の藤岡隆史氏は、一橋大学社会学部を出て、英語科教員として同校ひと筋。教頭を経ての就任となった。生徒会と国際交流を担当、韓国、中国、台湾、ドイツの学校と交流、地元ゆかりの医師が活動したドイツのヴリーツェン市に生徒と訪問、後に八王子市が姉妹都市を結ぶきっかけもつくった。前任の齋藤智文氏も大学卒業後、同校ひと筋の地歴科教員だったが、2年での交代となった。

 公文国際学園(横浜市戸塚区)は、公文教育研究会の創立者である公文公(とおる)が1993年に創立した。同校2期生で、創立者の孫に当たる地歴科教員(世界史)の公文晶子氏が教頭を経て新校長に就任した。理事長は母である公文倫子(のびてゆく幼稚園理事長/大阪・高槻市)氏が務めている。

 他に神奈川では、自修館中等教育学校(伊勢原市)は横浜市立大学出身の理科(物理)教員の大藤行央氏が教頭から昇格した。また、キリスト教主義のアレセイア湘南(茅ヶ崎市)は、高野昇一氏が23年に就任したばかりの小林直樹氏の後任となっている。