
アンパンマンがミュージカル化!?
いせたくや(大森元貴)である。
いせは自分で小劇場を持ちたくて、自社ビルを建設。そこで『怪傑アンパンマン』を舞台化しないかと嵩に持ちかける。「また自社ビル建てたんだって」と嵩に聞かれているので、いくつもビルを持った
富裕層のようだ。さすがヒットメーカー。でも、劇場のあるビルを買ったことで火の車。
いせと嵩の会話はテンポが良くて楽しい。大森は『あんぱん』のほかの出演者たちとは少し違うテンポを意識して芝居をしていると語っていた。
「(前略)たくやは、子どものときから芝居が好きだったのでしょうから、立ち振る舞いのテンポ感を、これまでの『あんぱん』の登場人物とは変えて、やや演劇的にしてみました。(北村)拓海くんからはそれが非常に演じやすいと言ってもらえて(後略)」
ほんとうにその通りで、いせと嵩の会話は緩急があって、面白さが伝わってくる。たいてい、いつも、
結婚と離婚と恋の話が話題になる。いせが離婚と再婚を繰り返していたからだ。けろっとしているいせと、呆れながら話を聞いている嵩。奔放ないせとのぶ一筋に見える嵩との対比が楽しい。
語っていることは大人の話だが、ふたりは「子どもの心」を大人になっても持ち続けている設定で、
ふたりのテンポのいい会話は、ピュアな童心や楽しむ心を表しているようにも見える。
嵩といせが嵩の家で話していると、のぶのお茶教室に来ている幼児(一瞬、羽多子の孫かと思ったがそうではなさそう)がアンパンマンのマネをして、それを見たいせは、アンパンマンのミュージカルをやる決意を固くするのだ。
実際、1976年、麻布十番にあったいずみたくの劇場・アトリエフォンテーヌでミュージカル『怪傑アンパンマン』が上演されている。