
“見捨てられた1700万人”は、実はそこまで悲惨ではなかった!?現在40~50代となった「就職氷河期世代」(1993~2004年卒業)の就職環境の実態を、「雇用のプロ」が現場経験とデータで徹底検証。既にビジネス誌などで「氷河期世代論争」を引き起こしている筆者が、炎上覚悟で世に問う「真実」とは。※本稿は、海老原嗣生『「就職氷河期世代論」のウソ』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
好不況で大卒就職者数に
あらわれる違いは「年6万人」
氷河期世代の就職環境を冷静に分析するのであれば、大学定員数が近い後期氷河期とポスト氷河期(2005~09年卒、リーマンショックの前)を比較するのがよいだろう。
ポスト氷河期の就職環境は、バブル期並みによかった。2009年には大学新卒求人数が過去最高にまで増え(図表3)、大企業の採用数はバブル期を超えている。

一方、後期氷河期は2000年と2003年が就職数のボトムであり、無業・フリーター数も両年が最大となる。
後期氷河期とポスト氷河期の比較は、卒業生数の変動という因子が取り除かれるため、より純粋に就職環境の変化を物語るだろう。
大卒就職者数の差は、両時期で約6万人、無業・フリーター数の差も6万人程度となる。この6万人の差が「氷河期問題」の原点なのだ。
大学卒業者数が53~54万人当時に起きた「6万人の差」だから、卒業生数に占める割合で11~12%程度、就業不安定者が増減したということだろう。それがいつの間にか、「大多数が無業・フリーター」という話になってしまったことが大きな問題だ。