トラックは、土砂に頭から突っ込むような形で斜めに沈み込み、運転台は完全に土に埋もれ、荷台の一部だけが露出している状態でした。消防局によると、駆けつけた直後から午後1時頃までは、運転席にいたドライバーは、呼びかけに対して反応していたといいます。

 最初に選択された救助方法は、命綱を装着した消防隊員2人が穴の中に降り、ショベルで手掘りをしながら、埋もれた運転台に近づくというものでした。

「転落事故」ではなく
「土砂災害」として対応すべき

 慎重な作業が進められていましたが、午後になって崩落穴の内部が再び崩れ、2人の隊員が巻き込まれて負傷。うち1人は入院を要する重傷を負いました。

 この事態を受けて、消防は作戦を変更。「トラックごとクレーンで吊り上げる」という手法に切り替え、大型クレーンを要請しました。しかし、午後8時半頃に実施された最初の吊り上げ作業で、ワイヤーが切れてしまいます。

 さらにクレーン車の台数を増やすなどして再挑戦し、日付が変わる頃にようやく吊り上げが成功しました。ただし、吊り上がったのはトラックの荷台部分のみ。運転台はすでに土砂の重みによって千切れ、車体から分断されていたのです。

 そして、その直後に再び大きな崩落が発生し、電柱や店舗の看板などが地中に呑み込まれていきました。クレーンで荷台が取り除かれたことで、せき止められていた土砂が一気に流れ込んだと見られています。この崩落により、救出活動は一時中断され、運転台の正確な位置すらわからない状態になってしまいました。

 専門家のなかには救助活動について、事故の捉え方に課題があったのではないかと指摘する声があります。事故直後の現場は、トラックが土砂に埋まり、周囲の地盤が断続的に崩落するという状況でした。このようなケースは「転落事故」ではなく、「土砂災害」として対応すべきではなかったかと言うのです。