壁にぶつかり、もがくことで、何かを見つけられる
予定どおりにはいかないのが子育てというもの。子どもの能力や個性には“違い”があり、置かれた環境によっても、成長度合いによっても、さまざまな違いが生じてくる。社会や組織も同様で、若年層が一人前のビジネスパーソンとして羽ばたくには、上司の寄り添う姿勢や指導の仕方が鍵となる。
つるの 子育てにおいて重要なのは、「心配」よりも「信頼」です。信頼してあげることによって、伸び伸びと成長できる。畑の野菜みたいに、放っておいても自然に育ちますから、過剰に心配する必要はありません。ネットで目にしたものや本で得た知識など、情報があり過ぎて混乱してしまうのなら、いったん、すべてを捨ててみるのもひとつの手段でしょう。現在、僕の長男と長女は海外で学んでいますが、子どもたちはこの世に誕生したときからそれぞれが原石の輝きを秘めているので、親があらゆる可能性を見つけ、上手に磨きあげ、線路を敷いてあげればいい。そして、「あとは、自分で頑張ってね」と社会に送り出すことが親の役目。自分の子ではあるけれど、“子どもは社会からの預かりもの”だと僕は思っているので、きちんと育てて、社会に返したい。いまは、親としての役目を果たし終えたときに、妻と二人だけで旅にのんびり出るのもいい、と思っています。
想定外のハプニングや突然の障壁は日常の生活や仕事において避けられないものだが、つるのさんはそれこそが成長の機会と考え、「困難の中にこそ、大きな可能性がある」と語る。そして、その突破方法は「便利なものに頼るのではなく、自らの手や足で見つけていくこと」と断言する。
つるの もがくことで、初めて何かを見つけられると思うのです。畑仕事で言えば、土を耕している最中に硬い岩にあたったからといって、すぐに場所を変えるのではなく、諦めずに掘り進める。壁は誰にでも現れるものですし、それがない人なんてほとんどいません。進む道に迷ったときに、僕らは、つい、ネット検索に頼りがちで……検索は手っ取り早くて便利ですが、そこで得た答えは、だいたいが他人やAIが出したもの。結果的に、「自分には合っていない」と考え、別の道に向かってしまうことが多いですよね。僕が若かった頃はネット検索なんて存在しなかったので、自分自身の力で“探索”するしかなかった。自分の足を使うことで転んだり、傷だらけになったり、道を間違えたり……多くの困難があったけど、それが血となり骨となって、いまの僕を形成している。「答え」というものはそう簡単に見つかるものではなく、検索より探索することが大切だと思います。








